■ 眼内レンズについて

梅の実くらいの大きさの眼球は広い外の景色を目の中に取り込むために強いレンズの働きを持っています。そのレンズの1つが水晶体です。白内障は水晶体が濁る病気なので、その水晶体を取り除きますが、替わりのレンズを入れなければ見えるようにはなりません。濁った水晶体を取り除いた後に入れるレンズが眼内レンズです。

眼内レンズの原材料はアクリル、シリコーン等のプラスチックで、高度な技術で作られ、乱視も通常のものなら治すことができます。眼内レンズには、1カ所にピントの合う単焦点眼内レンズと、複数のピントを持つ、あるいは焦点の幅の広い、多焦点眼内レンズがあります。厚生労働省が安全性と有用性を確認したものを認可していますが、多焦点眼内レンズの中には欧米では認可されているが、日本では未認可のレンズもあります。

眼内レンズは直径6mmの円形のものがほとんどで、水晶体のカプセルの中央にうまく固定するための支えの脚がついています。多焦点眼内レンズの中にはプレート型のものもあります。

眼内レンズは目の中の、更に水晶体のカプセルの中に固定されますので、コンタクトレンズのように痛みが出る事はありません。取り外しはせず、一生目の中で安定しています。極く稀に怪我や病気により眼内レンズの安定が悪くなる場合があり、その時は取り外して別のレンズを入れることもあります。

当院では市販されている中でも極めて安全な、精度の高い眼内レンズを選んで使用しています。


■ 健康保険診療で使う眼内レンズ

健康保険診療で使う眼内レンズは1カ所にピントの合う単焦点眼内レンズが主になります。このレンズは手術後は眼鏡(老眼鏡あるいは遠近両用眼鏡)の補助が前提となりますが、眼内レンズは強い遠視、近視、乱視を治せるので、手術後にかけるメガネは、手術前のものより薄くて済むようになります。1カ所にピントが合うので、解像度が良く、とてもクリアに見えます。

2018年8月から一部の多焦点眼内レンズ(レンティスコンフォート)も使えるようになりました。また、2020年からは単焦点ではあるが、多焦点性のあるもの(アイハンス)も使えるようになりました。これらのレンズは手術後の眼鏡の使用頻度をかなり下げることができます。当院の研究ではレンティスコンフォートを挿入した人の約70%は日常生活のほとんどを眼鏡なしで暮らすことができます。しかし細かいものをみるためには老眼鏡あるいは拡大鏡が必要と考えられます。一方単焦点眼内レンズより解像度が低いと感じる人もおり、全ての方に合うわけではありませんので、検査の結果から見て、このレンズがふさわしいと考えられる方にお勧めしています。

ZA9003
(テクニスアクリル)
DCB00V
(テクニス ワンピース VB Simplicity)
SN60WF
(アクリソフIQシングルピース)
XY-1
(HOYA Vivinex アイサート XY1)
NX-70S
(エタニティー ファイン ナチュラル)
レンティス コンフォート
(LS-313 MF15)
KS-SP
(アクリロードシステム SP)
Eyhance
(テクニスアイハンス)

■ 選定療養で使う多焦点眼内レンズ

選定療養では、厚生労働省が認可した多焦点眼内レンズを挿入します。その場合、手術料は健康保険が適用になり、多焦点眼内レンズにかかわる費用(当院では片眼285,000円)が別にかかるという規定です。

単焦点眼内レンズは1箇所にピントが合うように設計され、手術後は老眼鏡を始めとするピントを補正する眼鏡が必要ですが、多焦点眼内レンズはほとんどの日常生活では眼鏡が要らないという非常に便利な眼内レンズです。当院の研究では(レンズによって多少の差はありますが)、約70%の人が術後3か月で1.0以上の視力となり、50cmの距離(パソコン作業などを行う距離)の視力は80%前後の人が0.7以上に、30cmの距離(新聞を読む距離)の視力は70%程度の人が0.7以上になります。災害対策としても有用であることから、手術料金は健康保険を適用することにより患者様の負担を少なくするように考えられています。

しかし多焦点眼内レンズが体に合う人と合わない人があり、手術の前の検査や診察の段階で良くデータと照合し、考え、手術を受けられる方のご意向を伺った上で決定します。また眼鏡が全く要らないという保証は無く、極く細かいものを暗いところで見るとか、条件の悪い日の車の運転とか、特殊な作業に一時的に眼鏡が必要な場合もあります。また、対向車のヘッドライトが通常の眼内レンズよりもまぶしく見えるという場合もあります。

Synergy
PanOptix
Symfony

■ 自由診療で使う多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズは次々と新しいものが考案されています。欧米では認可されていても、日本では未認可のレンズもあります。白内障手術において未認可の多焦点眼内レンズを使用する場合は手術料金を含めてすべてが自由診療となります。認可されているレンズは制作範囲(レンズの度数)が限られているので、非常に強い近視や乱視を十分に治すことができない場合がありますが、未認可レンズの中にはそのようなレンズを注文に応じて製作してくれるものがあります。当院では20年近く前から使用しており、多くの患者様から喜ばれています。最近ではインターネット情報により、そうしたレンズをご自分から希望される方もいらっしゃいます。多くの場合、制作にかかる時間、輸入手続きに要する時間などで、届くまでに1か月前後かかります。

選定療養で使う多焦点眼内レンズと同じく、ほとんどの日常生活では眼鏡が要らないという非常に便利なものですが、この眼内レンズが体に合う人と合わない人があり、手術の前の検査や診察の段階で良くデータと照合し、考え、手術を受けられる方のご意向を伺った上で決定します。また眼鏡が全く要らないという保証は無く、極く細かいものを暗いところで見るとか、条件の悪い日の車の運転とか、特殊な作業に一時的に眼鏡が必要な場合もあります。また、対向車のヘッドライトが通常の眼内レンズよりもまぶしく見えるという場合もあります。

レンティスMplus