■ 後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)と前房型有水晶体眼内レンズの違い

後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)
後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)は、マイナス電荷を帯びているコラマーという素材からできており、タンパク質や細胞等の粒子を反発し寄せ付けないため、炎症が起こりにくく、長期間眼内にて安定します。また、ノングレア特性があり、手術後の眩しさが少ないレンズです。2010年現在、世界64カ国で承認されており、日本では2003年に臨床試験が開始され、2010年に承認されました。欧米ではLASIKと同じように普及している手術です。
前房型有水晶体眼内レンズ
前房型有水晶体眼内レンズは、白内障治療で使われるレンズと同じ素材(ポリメチルメタクリレートまたはシリコーン製)で作成された人工レンズを虹彩に固定する事で光の屈折率を変えて、屈折を矯正するもので、2004年9月に世界で最も厳しい安全基準を持つアメリカの公的機関FDA(米国食品医薬局/日本の厚生労働省にあたる機関)の承認を得ており、その安全性と有効性が確立されています。

後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)と前房型有水晶体眼内レンズの違い

眼の中にレンズを入れるという意味では両方とも同じ種類の手術なのですが、前述のように前房型レンズと後房型レンズではレンズを入れる場所が違います。前房型レンズは角膜と虹彩の間、後房型レンズは水晶体と虹彩の間にレンズを挿入します。

また当院で通常使用している前房型レンズ(アルチザン)は折りたたまずに眼内に挿入しますので約6ミリの切開創が必要ですが、後房型レンズ(ICL)は折りたたんで眼内に挿入しますので、小さな傷口(約3ミリ)での手術が可能で、早期の視力回復が望めます。

また前房レンズは虹彩の前面に固定しますが、後房レンズ(ICL)は虹彩の内側に挿入するという点から、瞳孔機能に影響しなく、角膜内皮障害のリスクが少ない上、外観上の審美性が良いというメリットがありますが、水晶体に近い事により、術後白内障の発生のリスクは前房レンズよりも高くなります。

逆に前房レンズは角膜からの距離が近い為、角膜内皮障害のリスクが後房レンズに比べ高くなります。
後房型有水晶体眼内レンズ
前房型有水晶体眼内レンズ